リノベ案を社長が絶賛!明海大学の学生提案から学ぶ、不動産ビジネスの原点「お客様目線」とは

不動産業界におけるリノベーションやリフォームにおいて、私たちはどうしても「いかに安く仕上げて、いかに高く売るか」という供給者側の論理に陥りがちです。しかし、住まいという空間の本質は、そこに暮らす人々の生活がどれだけ豊かになるか、という点にあります。

本コラムでは、世界最大級の不動産ネットワーク「センチュリー21」の加盟店であり、高い実績を誇る「センチュリー21 マルヨシ」と「明海大学」による産学連携協定の取り組みをご紹介します。

現役の大学生たちが、マルヨシが所有する実際の物件を舞台に、プロにはない自由な発想でリノベーションプランを提案。その瑞々しくもロジカルなアイデアの数々と、それを受けたマルヨシ経営陣・スタッフが「ビジネスの原点」を再認識させられた、熱いフィードバックの模様を詳しくレポートします。


企画の背景とオープニング

今回のプロジェクトは、センチュリー21と不動産学部を持つ明海大学による産学連携協定から生まれました。学生たちが机上の空論にとどまらず、実際の市場で流通するリアルな物件を対象にリノベーションの提案を行うという、非常に実践的な試みです。

プレゼンテーションの場には、明海大学の学生6名、そしてマルヨシの社長をはじめ、日頃から現場で施工や営業を担当しているプロのスタッフたちが同席しました。緊張感と期待感が包む中、未来の不動産業界を担う若者たちによる発表がスタートしました。

対象物件の紹介:埼玉県越谷市にある洋室6畳

リノベーションの舞台となったのは、埼玉県越谷市にあるマルヨシ所有の一戸建て物件です。対象となるお部屋は、階段を上がってすぐの場所にある2階の6畳洋室。南向きに配された2面の窓からは非常に明るい採光が差し込む、ポテンシャルの高い空間です。

この限られた「6畳」という空間を、学生たちがどのように変化させるのか。マルヨシのスタッフ側も「自分たちでは思いつかないような特筆すべきアイデアを期待したい。良いものは実際の物件へ積極的に取り入れ、活用させてもらいたい」と、強い関心を寄せていました。


学生たちは、越谷市の地域特性である「子育て支援の充実」に着目。この街で暮らすファミリー層をターゲットに据え、「プロジェクトプラスマイナス0」と名付けたリノベーションプランを提案しました。

単に綺麗な部屋を作るのではなく、子どもが「使いながら、一緒に育っていく部屋」を共通のコンセプトに掲げ、機能性と自由度のバランスを極限まで突き詰めた4つのユニークなアプローチが明かされました。

1. 「機能の充実と自由な編集」を叶える有孔ボードとコルク床

最初のチームが提案したのは、限られた6畳の空間を最大限に活かす「編集可能な部屋」です。あらかじめ完成された収納を作り付けるのではなく、あえて「使う人が完成させていく壁」として、壁面に有孔ボードを大胆に採用しました。

フックや棚の位置を住まい手が自由に変えられるため、子どもの成長や興味・趣味の変化に合わせて、いつでも部屋のレイアウトを編集できます。また、床には防音性や安全性に優れたコルクマットの敷設を計画。ただ物を置くだけの部屋ではなく、住む人が使い方の工夫を楽しめる余白を残した設計が特徴です。

2. 家具の買い替えをなくす「ロングカウンター」と「ホワイトボード」

子どもの成長に伴い、部屋の役割は「遊ぶ場所」から「勉強する場所」、そして将来は「仕事をする場所」へと変化していきます。しかし、その都度家具を買い替えたり、使わなくなる家具がスペースを圧迫したりするという課題がありました。

そこで学生たちは、空間そのものを計画するリノベーションを提示。窓側の壁面に沿って固定式の「ロングカウンター」を造作することで、用途が変わっても一生モノとして使い続けられる学習・作業スペースを確保しました。さらに、壁面の一部には「ホワイトボード」を導入。子どもの思考や表現を可視化し、年齢を問わず創造性を育む環境を作り出しました。

3. 「思い出を残せる部屋」取り外し可能なイラストパネル

「思い出を残せる部屋」をテーマに掲げたチームからは、子どものアートワークを住まいの一部にする情緒的な提案がなされました。

棚の一部に設置されたホワイトボード式のパネルは、自由に絵を描くことができるだけでなく、なんと「取り外しと保存」が可能です。取り外した作品をフィルムのパネルケースに収納していくことで、年代ごとの絵の特徴をコレクションのように楽しむことができます。「子どもの頃に描いた絵を、大人になってから見返したときに深い愛着を感じられるように」という、家族の歴史に寄り添った温かいアイデアです。

4. 「遊ぶ・守る・休む」を両立するボルダリングとハンモック

最後に発表されたのは、部屋の中にアクティビティを取り入れる驚きのプランです。天井の強度や構造に工夫を施し、部屋の中心で遊んだりリラックスしたりできる「ハンモック」を設置。

さらに、壁面には「ボルダリング」のホールドを設置しました。壁の手前には十分なスペースを確保し、安全性と生活動線もしっかりと確立されています。このボルダリング壁は、「幼少期は体を使って楽しく遊ぶ場所」として機能し、「大きくなったら帽子や服をかけるスタイリッシュな物掛け」として活用するという、長期的な二段構えのライフサイクルが想定されています。

また、天井には「ライティングレール」を敷設。お部屋全体を明るく照らすだけでなく、それぞれの素材(有孔ボード、コルク、黒板など)が使われた異なる壁面へとスポットライトを当てられるようにし、1つの部屋の中に多様な表情と楽しさを演出しました。


学生たちの熱意溢れるプレゼンテーションを受け、マルヨシの現場でリフォームや施工を指揮するプロフェッショナルたちとの間で、極めて実践的な質疑応答と意見交換が行われました。

「住む人が自由に編集できる余白」への感銘

まずマイクを持ったのは、アセットマネジメント事業部を牽引する尾島氏です。

「私たちプロがリノベーションを考える場合、どうしても最初からすべての設備を作り込んで、完成された状態で提供してしまうケースが非常に多い。しかし、今回の提案のように『住んでいる方が自由にカスタムできる余白』を残し、取り外し可能な収納を組み合わせる工夫はとても新鮮でした。これなら、子どもが大人になったタイミングでも、ライフスタイルに合わせていくらでも部屋を変えていけますね」

プロが陥りがちな「作り込みすぎ」という盲点を突かれた形となり、学生たちの可変性に対するアイデアを高く評価しました。

また、尾島氏からの「子ども部屋という用途以外に変えるとしたら、この6畳をどう活かすか?」「なぜ数ある部屋の中から、階段を上がって目の前にあるこの右側の部屋を選んだのか?」という質問に対し、学生たちは淀みなく回答しました。

「もしご家族に子どもがいない、あるいは巣立った後であれば、6畳という適度におこもり感のある広さを活かして、集中できる『書斎部屋』や、家族のお気に入りを集める場所にしても素敵だと思います。この部屋を選んだ理由は、階段からの動線が一番スムーズだったことと、窓が2つあって採光が良く、私たちがいただいた資料の中で一番写真がきれいに撮れていてイメージが湧いたからです」

この立地や空間の特性を直感的に捉えた選定理由に、審査員たちも深く深く納得の表情を浮かべていました。

長期的な視点と現実への落とし込み

続いて、賃貸や戸建てのリフォーム・リノベーションの最前線に立つ山崎氏がフィードバックを行いました。

「学校が近いという周辺環境や地域の特性をテーマに1つ設定し、たった1つの部屋に対してこれほどバリエーション豊かな案を出していただけたことは、我々プロにとっても凄く勉強になりましたし、これからの実務に生かしていけると感じました」

山崎氏は特に「有孔ボード」の提案に強い興味を示し、なぜこのアイデアに至ったのか、そして20年後といった長期的な視点でどう空間を捉えているのかを学生に問いかけました。学生は自身の原体験を交えてこう答えます。

「実は私自身、自分の部屋がなくて、もし自分だけの部屋があったら壁にお気に入りのものをたくさん飾りたいなという憧れがずっとありました。大きな棚を置くと部屋が狭くなってしまいますが、壁そのものを収納にできれば空間を広く使えます。将来、在宅ワークが増えたときには書斎としても使えますし、黒板や有孔ボードはアイデアを書き留めたりタスクを整理したりする場所としても機能します。
ゲームと同じで、最初から最後まで面白くて楽しいものでなければ、人は途中で飽きて使わなくなってしまいます。このお部屋も、子どもから大人へ育っていく過程で、常に『楽しい』『有効活用できる』と思える場所にしたい。たとえばボルダリングは、大人になると体重を支えるのが難しくなるかもしれませんが、その時は壊して別のものにするか、荷物掛けとして第二の人生を持たせる。そうやって20年先も愛される部屋をテーマに考えました」

この回答を聞いた山崎氏は、「ボルダリングの壁を荷物掛けにするという発想は、自分で実際の生活を想像してみても『確かにあったらそうやって使うな』とリアルに連想できました。ただの実用性だけではなく、こうした遊び心が同居している部屋はものすごく魅力的です。ぜひ当社の実際の物件リフォームでも活かしていきたいですね」と、太鼓判を押しました。


プレゼンテーションの締めくくりとして、センチュリー21 マルヨシの社長が壇上に立ちました。学生たちの提案を真剣な眼差しで見つめていた社長は、深い感謝とともに、自らの胸の内にある「経営者としての省察」を静かに語り始めました。

「売る立場の目線」に偏っていた自分への気づき

「藤木先生をはじめ、学生の皆さんの素晴らしい提案を聞かせていただき、ものすごく大きな刺激をもらいました。正直にお話しすると、私たちには『有孔ボードを壁一面に張る』というような発想はなかなか出てこないんです。なぜなら、日々のビジネスの中で、どうしても『いかに安く資材を仕入れて、安価なリフォームで仕上げて、いかに高く売るか』という、売る立場の目線、利益を優先する目線だけで考えてしまいがちだったからです」

社長は、プロとして経験を積めば積むほど、効率やコストパフォーマンスという数字の計算が先行してしまっていた現状を率直に認めました。

「常にお客様の立場に立って考え、行動しよう」

そして、学生たちの純粋なプレゼンテーションが、創業当時の熱い想いを呼び覚ますきっかけになったと続けます。

「私がこの会社を創業したとき、掲げた企業理念があります。それは『常にお客様の立場に立って考え、行動しようよ』というものでした。しかし、いつの間にかその最も大切な原点を、自分自身が忘れかけてしまっていたことに気づかされました。
皆さんの提案は、そこに住む人、そこで実際に毎日を生活する人の立場というものを、本当に真剣に、自分のことのように考えて作られています。生活者の目線に立つとはどういうことか、皆さんから大切なことを教えていただきました」

継続的な協働と未来へのチャレンジ

学生たちの「お客様ファースト」の姿勢に深く感銘を受けた社長は、この企画を一度きりのイベントで終わらせるつもりはないと、今後の展望を力強く宣言しました。

「今後のマルヨシとしては、ぜひ学生の皆さんにも引き続き一緒にお手伝いをしていただきたい。そして、少しでもお客様の立場、生活する人の立場に立った部屋作りというものに、1つでも2つでも、実際の現場でチャレンジしていきたいと思っています。皆さんの素晴らしい提案を、ただの絵に描いた餅にするのではなく、実際に形にして実現できるようなお部屋を私たちが作っていきます。これからも継続して、一緒に新しい挑戦をしていきましょう。今日は本当にありがとうございました」


本プロジェクトを通じて、学生たちの自由な発想と、プロの確かな技術・経営マインドが融合し、素晴らしいシナジーが生まれました。今回の産学連携リノベーション企画から導き出される、これからの不動産ビジネスの本質は以下の3点に集約されます。

  • 住まい手が「編集できる余白」を残すこと
    事業者が100%完成させた空間を押し付けるのではなく、住む人のライフステージや趣味に合わせて形を変えられる「可変性(余白)」を持たせることが、長期にわたって愛される物件の条件となる。
  • 「生活者の日常」をリアルに想像し、遊び心を取り入れる
    単なるスペックや間取りの良さだけでなく、そこで子どもがどう遊び、どう育ち、大人になったときにどう思い出を振り返るか。そんなストーリーを空間に落とし込む「遊び心」が、物件の唯一無二の価値(ファン)を生み出す。
  • ビジネスの原点は常に「お客様の立場に立つこと」
    仕入れ値やリフォームコストといった供給者側の論理に縛られそうなときこそ、「ここに住む人は本当に喜んでくれるか」という創業の原点、企業理念に立ち返ることが、結果として市場で選ばれ続ける最強の戦略となる。

明海大学の学生たちによる瑞々しいアイデアは、マルヨシのDNAである「お客様第一主義」に新たな息吹を吹き込みました。この提案が、越谷の街に実際の形となって現れる日が今から楽しみでなりません。


学生たちの熱気あふれるプレゼンテーションの様子や、社長が涙ぐむほど感動したフィードバックの全編を動画で確認されたい方は、ぜひこちらから直接ご覧ください。

動画リンク:[リノベ案を社長が評価学生提案で学ぶ不動産のお客様目線とは]